*

CSVを超えて〜バリュー・エンゲージメントの可能性

公開日: : 最終更新日:2014/06/15 CSR, 考察

マイケル・ポーターらが打ち出した「CSV」という概念。欧州委員会がその政策文書で「ヨーロッパ経済の成長のために、CSVを最大化する」と明確に記載したり、キリン・ビールが「CSV本部」を設置したりと、いまやCSVは世界の企業の重要な(中核的な)経営戦略概念になっている。

社会セクターからしても、CSRでは不十分だった「企業は何故、社会貢献しなければならないのか?」という問いに対する説得力ある概念が提示されたということで、ビジネス・セクター、社会セクター両方から熱狂的に受け入れられている。それがCSVである。

しかし、批判もある。CSVとて万能ではないのだ。

その批判の最大のものが、ポーターは従業員のことをまったく考えてないということだ。

CSVに限らないが、ポーターの競争戦略、というか、いわゆるビジネス・スクールで教えている競争戦略では、基本的に従業員は単なるリソースとして扱われる。

しかし、当たり前のことだが、従業員は「人材」だ。

経営論的に言えば、人材は最大・最重要のリソースである。

さらに言えば、「人材」とは「人間」のことだ。

しかし、CSVもそうだが、CSRの世界でも、この「人間」のことは、あまり語られてこなかったと思う。

社会貢献の世界では、「社会貢献に関心のある人」というくくりでターゲッティングしてきたし、僕自身もそのような人をいかに増やすか? ということをテーマに活動している。

しかし、人の価値観にはレイヤーがあって、それは人それぞれだ。価値観の優先順位と言い換えてもいい。

僕は、このブログのタイトル通り、「社会貢献でメシを食う」ことがテーマなので、社会貢献が最も高い価値観だが、音楽とか家族とか読書とか、下位レイヤーであっても、高い価値観を置くものが他にもある。

というか、もっと正確に言えば、僕の最も高い価値観は「革命」なので、実は社会貢献はその方法論、戦略論でしかないとも言える。

つまり、僕の価値観のレイヤーは、革命>社会貢献>音楽>読書>家族>その他である。

ん? 家族の価値観より音楽のほうが高いの? と疑問に思われるかもしれないが、僕にとっての音楽とは「革命思想」なので、家族より価値観が高い。

#ごめんね>奥さん、娘さん

まあ、しかし、僕の革命闘争に家族を巻き込むつもりはないので、この順番になるのはしょうがいのだが、それはともかく、

当たり前だが、社会貢献に関心がある人でも、その価値観の優先順位は人それぞれだ。家族やファッションや旅行のほうが価値観が高い人がいても当然で、しかし、社会貢献を志す人間としては、どうすれば社会貢献の価値観の低い人に、その価値観を上げてもらうかを考える必要がある。

CSVにはこの視点が欠けている。

CSVが熱狂的に受け入れられたのは、企業における社会貢献の価値観を上げることに成功したからだ。少なくとも理論的には、、、

だからこそ、多くのCSR関係者が「CSVはCSRとは違う」と主張し、なによりポーター自身が「CSVはCSRではない」と明言しているにもかかわらず、CSRに関係する多くの人間がCSVに飛びつき、今やCSR業界のデファクト・スタンダードなコンセプトになってしまった。

しかし、そこで取り残されているのが従業員だ。

グローバル化する時代にあって、世界の企業の従業員は過酷な状況に置かれていて、簡単に言えばハッピーではない。

特に日本はそうで、だからこそ「日本企業の社員のやる気は、世界でダントツで最下位」なのである。

#詳しくは、ダイヤモンド・オンラインの僕の記事を参照

では、どうすればハッピーになれるのか?

その答えが、「バリュー・エンゲージメント」の概念だ。

これは、社会と企業と個人の価値観をエンゲージメントさせるという概念だ。

詳しくは追い追い述べていくが、ポーターのCSVでは決定的に欠けていた「従業委の幸福」を、どうやってCSRに統合させていくか? という課題に対する僕の答えだ。

というわけで、早くも「さようなら、CSV。こんにちは、バリュー・エンゲージメント」である。

近い将来、CSVのように流行ってくれるといいな。

というか、誰か協働で論文を書いてもらえないかな?

僕一人では学術論文は書けないので、、、(^^;)

有志、求めます。

関連記事

osn0045-049_w420

新年にあらためて問う、成長戦略としてのCSR

(c) .foto project 明けましておめでとうございます。 今年はもう一度、初

記事を読む

kaigo

介護で閉ざされる若者たちの未来と「殺される権利」について

今夜のNHK「クローズアップ原題」のテーマは重かった。 介護で閉ざされる未来 ~若者たちをどう

記事を読む

JRHokkaido

JR北海道の件で考えた、不祥事でトップが辞任すべき理由

不祥事が続く、というより犯罪的な問題続出のJR北海道に国交省が二度目の改善命令。 さらに監督命

記事を読む

eyecatch

CSRは「信頼」から「共感」へ

世界の多くの企業は、ステークホルダーの「信頼」を得るためにCSR活動を行い、報告を行っている。

記事を読む

female_soldier

アフガニスタンの女性兵士は女子力が高い?

今週号の「TIME」に、なんと「アフガニスタンの女性兵士」に関するレポートが載っている。

記事を読む

school in africa

小中学校の教室にエアコンが必要な理由がよくわからない。

千葉市の小学校の教室にエアコンが設置されていない、ということで市議会にエアコン設置を求める請願が出さ

記事を読む

iso2600

CSRがつまらない〜ガイドラインをぶっ飛ばせ!!

CSRがつまらない。 最近はまったく興味が持てなくなっている。 最新の事例研究に興味も無

記事を読む

supplement

成長戦略視点からは、健康食品の表示規制緩和は正しいけれど、、

安倍政権は成長戦略の一環として、健康食品の表示規制を大幅に緩和する方針のようだ。 これは、健康

記事を読む

eyecatch

間違いだらけのCSRコミュニケーション〜応援してますって言うな!!

多くの企業がそのCSRコミュニケーションの中で「わたしたちは〜を応援してます」と言っている。

記事を読む

moon_square

CSRはもう終わり

宣伝会議が運営する広告界のニュース&情報ポータルサイト「アドタイ」に寄稿しました。 テーマは「

記事を読む

sma1
活動拠点を当ブログから移動しました。

僕がプロデュースする女性支援NGO「ガールパワー」では、2016年7月

mizutani
夜回り先生の右手親指はなぜ潰されたのか?

昼飯を食べながら「徹子の部屋」を見ていたが、今日のゲストは「夜回り先生

bouzu
CSRが儲かるとか儲からないとか、そんなことを議論しているから御社の業績は落ちるのだ。

昨日に続き、CSRは儲かるかどうかの議論について。 何故に、CS

csr
CSRは儲かるとか儲からないとか、この業界はいつまで頭の悪い議論を続けるつもりなのか?

つい最近、日経ビジネスにこのような記事が掲載された。 「社会貢献

sukiya2
ゼンショーのワンオペ、何が悪い!?

ここのところ、ニュースでは連日のようにゼンショーがネタにされている。

→もっと見る

  • 社会貢献に関するさまざまな情報をお届けする竹井善昭のメルマガです。ぜひご購読ください。 下記より登録できます。 竹井メルマガ登録フォーム

  • 社会貢献を志すすべての人のために。社会貢献という生き方を選ぶすべての人のために。社会貢献でメシを食うための方法を徹底解説。ソーシャルビジネスやCSRの考え方から、すぐに使えるヒント、アイデアまで。学生から企業人、そしてNPO・NGOスタッフまで。これ一冊で社会貢献のすべてが分かります。
    社会貢献の入門書として、大手外資系コンサル会社や中央官庁などの社会貢献系部署で必読書となっているロング・セラー。
    Amazonで購入

  • 英語やロジカル・シンキングだけでは世界では通用しない。真のグローバル人材になるために必要なことは何か? 誰も書かなかったその本質を徹底解説。
    Amazonで購入
PAGE TOP ↑