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コーズ・マーケティングの限界

公開日: : 最終更新日:2014/06/15 CSR, マーケティング, 考察

volvic

最近はミネラル・ウォーターの値段がどんどん下がっていて、スーパーやコンビニでは2リットル入りのペットボトルが100円以下で売られている。

それで気になるが「ボルヴィック」である。

今年もまた「1ℓ for 10ℓ」のキャンペーンが始まった。

このブログの読者には説明の必要は無いとは思うが、ボルヴィックを買うと「1リットルにつき10リットルのキレイな水が、アフリカの人に提供される」という仕組みだ。

いわゆるコーズ・マーケティング(CRM)というやつだが、日本のコーズ・マーケティングやCSRに与えたボルヴィックの功績は大きい。

ボルヴィックがこのキャンペーンを始めた2007年7月頃は、まだまだ日本のCSR業界は「 CSR1.0」の時代。つまり、CSR=慈善みたいなイメージだったし、多くの企業もそう考えていたと思う。

CSRコンサルタントなどが「本業を通じたCSR(CSR2.0)」を唱えていた頃で、もちろん「CSR3.0」なんて概念も、まだ僕も世に出していなかった。

「儲かるCSR」などと言えば、業界全体から抹殺されそうな雰囲気も合った時代で、CSRとマーケティングを連携させることさえタブー視されていて、そのような時代に「儲かるCSR」をテレビCMまで使って大々的に展開したボルヴィックはまさに革命的だった。

ボルヴィックの、この「1ℓ for 10ℓ」がなければ、日本のCSRは5年は遅れていたかもしれない。

というわけで、僕はボルヴィックを今でもリスペクトしているし、なるべくボルヴィックを買おうとしている。

しかし、、、

いろいろなところで書いたり喋ったりしているのだが、コーズ・マーケティングにも限界というものがある。

ミネラル・ウォーターでいえば、自販機で売っているような500ミリリットル入りのペットボトルだと、その限界は10円ではないかと思っている。「世の中のためになるからボルヴィックを買おう」と思ってる人も、隣に並んでいるミネラル・ウォーターが10円以上安いと、そっちを買ってしまうというわけだ。

もちろん、値段が同じなら、「世の中のためになる」というのは優位性となるだろう。

しかし、

最近のミネラル・ウォーター業界の値下げ合戦は度を超えている。

2リットル入りのペットボトルが100円以下。

僕が確認した最安値は88円で、しかもコンビニでこの価格である。

冒頭の写真はたまたま入ったコンビニの棚のものだが、

国産大手メーカーの2リットルボトルが98円

その横に並んだボルヴィックは、1.5リットルで218円である。

いくらなんでも、これでは勝てるはずもない。

コーズ・マーケティングは価格競争に巻き込まれない、価格を超えた価値を提供する、というところに値打ちがあるが、最近のミネラル・ウォーター業界の仁義なき戦いぶりを見ていると、マーケティングはやはり綺麗事ではないと思い知らされる。

コーズ・マーケティングのあり方を、もう一度考え直す必要がありそうだ。

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