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「永遠のO」と現代若者論

公開日: : 最終更新日:2014/06/08 カルチャー, 若者論

「永遠の0」

正直言って、原作を読んだ時はピンとこなかった。

「妻子のために生きて帰ること」を最大テーマとして、戦争を生き延びてきた主人公が、最後に特攻隊に志願して死んでいく。しかもかつての教え子の身代わりとも言えるような行為で死んでいく。その理由の説得性が弱いと感じていたのだ。

というわけで、映画も見る気はなかったのだが、とある事情で観なければならないことになり、正月を利用して観てきた。

残念ながら、映画でもこの原作にあった「説得性の弱さ」は払拭できたわけではないが、映画としてはまあまあ楽しめるできだったとは思う。つまり、お金を払ってもよいという意味で、星3つか4つはつけられる。

ただ、大きな違和感を感じるシーンが一つだけあった。

この映画には主人公が二人いる。

死んでいった特攻隊員・宮部久蔵と、戦時中の宮部の物語を探る現代の若者(佐伯健太郎)である。

つまり、戦時中の話と現代の話が交錯しながら進むのだが、物語が設定する「現代」は2004年であり、佐伯健太郎はこの時点で26歳の設定だ。つまり、いわゆる就職氷河期世代、(日本における)ロス・ジェネ世代である。

その世代の若者が合コンするシーンが映画にはある。(原作にはなかったように記憶している)

佐伯健太郎もその合コンに参加するが、ひょんなことから特攻隊を巡って仲間と口論となり、合コン相手の女子たちはどん引きする。

僕が違和感、というより正確に言えば「時代感覚の違い」みたいなことを感じたのがこのシーンでの、若者たちの反応だ。

たぶん、2004年当時の26歳が集まって合コンすれば、このような反応になったのかもしれない。

しかし、今の若者、2013年、2014年時点での高校生、大学生、二十代前半の若者の集まりで、特攻隊の話題が出た時、たぶんその反応は、この映画で描かれている若者たちとは、ちょっと違った反応、空気感を出すのではないかと思うのだ。

もちろん、シチュエーションにもよるが、女子たちが特攻隊の話でどん引きするようなことにはならないように思える。

これは、社会貢献というテーマを通じて得てきた、多くの大学生たちとのつきあいから生まれる僕の感覚でしかない。その意味では、かなりバイアスがかかっているともいえる。

しかし、マーケティング屋としての感覚で言えば、このような「国や愛する人たちのために、自ら命を捧げるという価値観や行動」に対して、積極的に賛美したり関心を持ったりしないまでも、どん引きしたり無関心を決め込むこともない、という感性、感覚を持った若者は確実に増えているように感じる。

映画全体で言えば些細なシーンだが、この合コンのシーンは、その意味では日本の若者の意識が大きく変化したことを感じさせるシーンだった。

つまり、このシーンに感じた僕の違和感は、映画制作者の責任でも問題でもなんでもなくて、単に時代が変化したなと感じさせるという意味での「違和感」だったのだが、そのような違和感を感じさせる時代になってきたことは良いことだと思う。

とまれ、社会貢献を志す人たちには、いろいろな意味でお勧めする映画だ。

#主人公など登場人物の言動にはいろいろと疑念は残るけど、、、

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